父の犬。
数年前、わたしが病に倒れた。
脳の手術を数回。
退院したとき、父がわたしのために新しい犬を買ってくれると言った。
はじめてのペットショップ。
はじめてじぶんでペットを選べる権利。
わたしは、毛がない動物にときめく傾向がある。
ピンシャーにすることにした。
父が、「近所の岩男っつぁんに似てるからだめだ」と速攻却下された。
近くにいたチワワを見て、父を見ると満面の笑みで、OKを出している。
わたしに選択権ははじめからなかったのだ。
狆によく似たチワワ。
父のための犬。