タマゴの思い出
スーパーで買ってきたタマゴを自分であたためてもひよこが羽化しないと気づいたのは、物心ついた頃だった。
タマゴを見ると、無性に育てたくなる。
それまで、温度やあたため方に問題があるのだとばかりおもっていた。
そんな時、デパートの開店記念で、1人1羽のヒヨコが配られた。
今おもうと、昭和のバブル時代は、恐ろしい発想をするものである。
わたしは手に入れたヒヨコ2羽を「ピコ」と「パコ」と名付け、愛でた。
冬の時期は、寒かろうとおもい、掘りごたつで育てた。
夜は消される掘りごたつ。
3日で、ピコとパコのいのちは果ててしまった。
わたしは、家の裏にピコパコのお墓をつくった。
今でも、その場所で思い出す。