母と猫。
母は、猫が嫌いだった。
嫌いというよりも憎しみに近い感情を抱いていた。
庭に野良猫が「ミャー」とひと鳴きしたときには、温厚な母が一気に不機嫌になったものだった。
野良猫があかちゃんを生んだときは、わたしにとっては最悪な事態である。
祖母があかちゃんを川に捨て、母が親猫を軽トラックで捨てに行くという、ある意味執念深い行動に出る。
しかし、母が軽トラックで遠くに捨てたはずの猫は、ちゃんと庭に戻ってくるから、すごい本能だとおもう。
気が向けば、母は猫を捨てに行く。
何度でも。